自毛植毛は薄くなった部分に自分の髪を移植する画期的な治療法であり一度生着すれば半永久的に生え続けるという夢のような効果を持っていますが手術が成功したからといってAGA薬をやめると大変なことになるという事実は意外と知られていません。植毛した髪の毛は後頭部や側頭部から採取されたAGAの影響を受けにくい性質を持ったドナー株であるため薬を飲まなくても抜け落ちることはほとんどありませんが問題なのは植毛していない部分にある元々の髪の毛すなわち既存毛です。AGAは進行性の病気であるため薬をやめると既存毛の部分では薄毛の進行が再開し植毛した部分はフサフサのままなのにその周りの髪だけが抜け落ちていくという奇妙な現象が発生します。これを業界用語で離れ小島現象と呼び前頭部に植毛した場合などは植えた部分だけが島のようになって残りその後ろが禿げ上がってしまうため見た目の違和感は強烈なものとなり結果として再手術を余儀なくされるケースも少なくありません。つまり植毛はあくまで薄くなった部分を埋めるための手段であり薄毛の進行そのものを止める治療ではないため既存毛を守り自然なヘアスタイルを維持するためには術後もAGA薬を飲み続けることが大原則となります。多くのクリニックでは植毛手術と薬物療法をセットで提案しておりこれを拒否して薬をやめるとせっかく高額な費用をかけて手に入れた理想の髪型が数年で崩壊するリスクを背負うことになります。もちろん経済的な事情や副作用の問題でどうしても薬をやめたい場合は2回目の植毛を前提とした計画を立てるかあるいはカツラなどの併用を検討する必要がありますが植毛すれば薬から解放されるという甘い期待は捨て生涯にわたってメンテナンスが必要な治療であることを理解した上で手術に踏み切ることが後悔しないための鉄則です。AGA薬をいきなり完全に断つことのリスクを回避しリバウンドの衝撃を最小限に抑えるために推奨されるのが計画的な減薬ステップを踏みながら徐々にやめるというソフトランディングの手法です。医師の指導の下で行われる一般的な減薬プロトコルとしてはまず服用の頻度を毎日の服用から二日に一回へと減らし体内の薬物濃度を少しずつ下げながら数ヶ月間様子を見て抜け毛の増加や毛質の変化がないかを確認します。この段階で急激な悪化が見られなければさらに三日に一回へと間隔を空けていき最終的には週に一回程度の服用あるいは完全に中止するという段階を踏むことで体が変化に順応する猶予を与えることができます。またフィナステリドなどの内服薬を減らしつつミノキシジルの外用薬だけは継続するというハイブリッドな方法も有効であり内側からの抑制力が弱まっても外側からの発毛刺激を続けることで急激な脱毛を食い止める緩衝材の役割を果たしてくれます。さらに減薬期間中は生活習慣の改善を徹底しサプリメントや頭皮マッサージなどで基礎的な頭皮環境を底上げしておくことも薬のサポートが減った状態での維持力を高めるためには重要です。