ミノキシジルは、薄毛治療、特にAGA(男性型脱毛症)や女性の薄毛に対して、発毛効果が期待できる有効成分として広く知られています。もともとは高血圧の治療薬(血管拡張薬)として開発されましたが、服用した患者に多毛の副作用が見られたことから、発毛剤としての研究が進められ、現在では外用薬(塗り薬)として一般的に用いられています。ミノキシジルの主な作用機序としては、まず「血管拡張作用による血行促進効果」が挙げられます。頭皮に塗布することで、毛細血管を拡張させ、血流を増加させます。これにより、毛根にある毛母細胞に必要な酸素や栄養素がより効率的に供給されるようになり、毛母細胞の働きが活性化され、発毛が促進されると考えられています。また、ミノキシジルには「毛母細胞に直接作用する効果」も報告されています。毛母細胞の増殖を促したり、アポトーシス(細胞死)を抑制したりする働きがあると言われています。さらに、ヘアサイクルの「成長期を延長させる」作用も期待されています。AGAなどでは、髪の毛の成長期が短縮し、十分に成長する前に抜け落ちてしまいますが、ミノキシジルはこの成長期を長くすることで、髪の毛を太く長く育てるのを助けます。これらの作用が複合的に働くことで、ミノキシジルは新しい髪の毛の成長を促し(発毛)、既存の髪の毛を強く太く育てる(育毛)効果を発揮すると考えられています。日本国内では、ミノキシジルを配合した外用薬が、第一類医薬品として市販されているほか、医療機関でも処方されています。ただし、効果の現れ方や程度には個人差があり、全ての人に同じような結果が得られるわけではありません。また、副作用のリスクもあるため、使用前には医師や薬剤師に相談し、正しい知識を持って使用することが重要です。