30代は、仕事や家庭など、ライフステージが大きく変化する時期であり、それに伴うストレスや生活習慣の乱れが、AGA（男性型脱毛症）の進行を加速させてしまうこともあります。しかし、適切な治療を早期に開始することで、進行を食い止め、改善へと導くことは十分に可能です。30代のAGA患者さんの治療症例では、多くの場合、生え際の後退（M字型）と頭頂部の薄毛（O字型）が複合的に進行しているケースや、髪全体のボリュームダウンが顕著になってきているケースが見られます。例えば、30代前半で結婚し、仕事の責任も増してきたAさんは、ここ数年で急に抜け毛が増え、特に頭頂部の地肌が目立つようになってきたことに悩んでいました。鏡を見るたびにため息をつき、自信も失いかけていたそうです。意を決してAGA専門クリニックを受診したところ、中等度のAGAと診断されました。Aさんの治療は、まずフィナステリドの内服から開始されました。医師からは、効果を実感するまでには最低でも3ヶ月から6ヶ月はかかると説明を受け、根気強く服用を続けました。治療開始から3ヶ月ほど経った頃、まず抜け毛の量が減ってきたのを実感。そして、6ヶ月後には、頭頂部に細い産毛が生え始め、髪全体に少しハリが出てきたように感じたと言います。さらに治療を継続し、1年が経過する頃には、以前よりも明らかに髪の密度が増し、頭頂部の地肌の透け感がかなり改善されました。Aさんは、「もっと早く治療を始めていれば良かったと思う反面、30代でも諦めずに治療すれば効果が出るのだと実感できた。自信を取り戻し、仕事にも前向きに取り組めるようになった」と語っています。この症例のように、30代であっても、AGAの進行を認識し、専門医の診断のもとで適切な治療を継続することで、薄毛の進行を食い止め、QOL（生活の質）を向上させることは十分に可能です。大切なのは、自己判断で放置せず、早めに専門家のアドバイスを求めることです。