M字はげが治らないと言われる理由とその誤解

skinc-user

「M字はげは治らない」という言葉を耳にすることがありますが、これにはいくつかの理由と、そして誤解が含まれている可能性があります。なぜM字はげが治りにくい、あるいは治らないと言われることがあるのでしょうか。理由の一つとして、M字部分の毛根が、AGA(男性型脱毛症)の原因となる男性ホルモン(DHT)の影響を特に受けやすい性質を持っていることが挙げられます。毛乳頭細胞にある男性ホルモン受容体の感受性が高いと、DHTの影響でヘアサイクルが著しく短縮され、髪の毛が十分に成長する前に抜け落ちてしまいます。この感受性は遺伝的要因が大きいため、一度AGAが発症すると、M字部分の薄毛は進行しやすい傾向にあります。また、M字部分は、自分自身でも鏡で確認しやすく、薄毛の進行を実感しやすい部位であるため、心理的に「治りにくい」と感じやすいのかもしれません。さらに、過去には有効な治療法が少なかった時代もあり、その頃のイメージが残っている可能性も考えられます。しかし、「治らない」という言葉には誤解も含まれています。現在のAGA治療は大きく進歩しており、進行を抑制し、現状を維持したり、ある程度の改善を目指したりすることは十分に可能です。完全に元の状態に戻すのが難しいケースはあっても、「何もできない」「悪化する一方だ」というのは正しくありません。内服薬や外用薬による治療は、科学的根拠に基づいて効果が認められていますし、自毛植毛であれば、M字部分に新たな髪を生やすことも可能です。重要なのは、「治らない」という言葉に諦めてしまうのではなく、早期に専門医に相談し、適切な治療を開始することです。治療開始が遅れれば遅れるほど、改善は難しくなります。また、インターネット上には、「M字はげは治らない」といった断定的な情報や、効果の不確かな民間療法に関する情報も溢れています。これらの情報に惑わされず、医学的根拠に基づいた正しい情報を得ることが大切です。「治らない」という言葉は、多くの場合、治療を諦めてしまった結果や、不適切な情報に基づいた思い込みである可能性を理解しておくべきでしょう。