娘から送られてくるスマートフォンの写真を見るのが、日々の何よりの楽しみです。画面の中でふっくらとした頬を輝かせる孫の姿は、見ているだけで心が温かくなります。口コミで人気の歯医者を芦屋では探すには先日送られてきた動画には、しきりに何かを口に入れ、むずがっているような仕草が映っていました。娘からのメッセージには「歯ぐずりかな?まだ生えないんだけど、ちょっと心配」と、小さな不安が滲んでいました。その文面を見ながら、私は三十年以上も前の、自分の子育て時代へと記憶を遡っていました。 私が娘を育てていた頃は、今のように手軽に情報を得られる時代ではありませんでした。育児の知識といえば、分厚い育児書か、母や近所の先輩お母さんからの口伝てが全てでした。大阪から行方調査を行う探偵にもその人探しから乳歯が生える時期についても、「半年くらいで生えるのが普通よ」と言われればそれを信じ、少しでも遅いと聞けば「栄養が足りないのかしら」と根拠もなく心配したものです。それに比べ、今の若いお母さんたちは、いつでもどこでも専門的な情報にアクセスできます。それは素晴らしいことですが、一方で、あまりに多くの情報が、かえって不安を掻き立てることもあるのかもしれない、と娘の様子を見ていて感じます。 「大丈夫よ。あの子のペースがあるんだから。あなたも一歳近くなるまで生えなかったのよ」と返信しながら、親として必死だった当時と、祖母として見守る今とでは、心の持ちようが全く違うことに気づかされます。親であった時は、成長の全ての段階が「責任」と隣り合わせで、常に緊張感がありました。しかし、祖母という立場は、少しだけ距離を置いて、その成長の過程そのものを純粋に楽しむことができます。孫がよだれで服を濡らしているのも、不機嫌にぐずっているのも、「ああ、今、小さな体の中で、一生懸命に歯を生やす準備をしているんだな」と思うと、その健気さが愛おしくてたまらなくなるのです。 そして先週、ついにその吉報が届きました。「お母さん、下の歯が一本、こんにちはしたよ!」という娘の弾んだ声の電話。受話器の向こうで喜んでいる娘夫婦の顔が目に浮かぶようでした。後から送られてきた写真には、笑った口元の歯茎に、ポツンと真珠のように輝く白い点が見えました。三十年前に一度味わったはずの感動が、まるで初めてのことのように新鮮に、そして何倍も大きく胸に押し寄せてきました。 これから、この小さな歯を守り育てるという、新しいステージが始まります。仕上げ磨きは大変かもしれないけれど、それも親子の触れ合いの大切な時間です。わが子の成長を見守る喜びと不安。その両方を経験したからこそ、今、心から娘に「楽しんで」と伝えることができます。一つの小さな歯は、単なる成長の証ではありません。それは世代を超えて命がつながっていることを実感させてくれる、家族にとっての輝かしい宝物なのだと、孫の笑顔が教えてくれました。