「もう手磨きには戻れない」。そんな謳い文句に惹かれ、私は一念発起して、少し高価な電動歯ブラシを購入しました。歯科検診で指摘された、コーヒーによる着色汚れをなんとかしたいという切実な思いもありました。インプラントで口コミ人気の芦屋の歯医者でという箱を開けると現れた、未来的なデザインの本体。スイッチを入れると、ウィーンという小気味よい音と共に、ブラシヘッドが細かく振動します。これさえあれば、歯科医院でクリーニングしてもらった後のような、あのツルツルの歯が毎日手に入るのだと、期待に胸を膨らませていました。 どの歯医者でも こんな大阪市にどこか、初めて使ってみた日の夜、私の期待は少しばかり揺らぎました。これまで慣れ親しんだ手磨きの感覚で、ブラシを歯に当て、いつものようにシャカシャカと小刻みに動かしてみたのです。確かに振動はパワフルでしたが、なんだか歯茎がムズムズするし、磨き終わった後も、期待していたほどの爽快感はありませんでした。むしろ、一部の歯茎が少しヒリヒリするような感覚さえあります。「こんなものなのかな…」「値段の割には大したことないな」と、正直がっかりしてしまったのです。それでも数日間は同じように使い続けてみましたが、感動的な変化は訪れませんでした。 転機が訪れたのは、購入から一週間ほど経った頃です。ふと、メーカーの公式サイトに使い方の動画があることを思い出し、何気なく再生してみました。そこで語られたのは、私にとって衝撃的な事実でした。「電動歯ブラシは、手で動かす必要はありません。ブラシを一本一本の歯に優しく当てるだけで、歯垢を効率的に除去します」。動画の中のモデルは、ブラシをゴシゴシ動かすどころか、歯にそっと添えるように当て、数秒待っては隣の歯へと静かにスライドさせているだけでした。私のやっていたことは、良かれと思ってアクセルとブレーキを同時に踏み込むような、全くの見当違いな操作だったのです。 その夜、私は動画で見た方法を忠実に再現してみることにしました。力を抜き、鉛筆を持つように軽く本体を握る。そして、歯と歯茎の境目にブラシを優しく当て、じっと待つ。最初は「本当にこれで磨けているのだろうか」と、あまりに手応えがないことに不安を覚えました。しかし、タイマーが鳴り、二分間の歯磨きを終えて口をゆすいだ後、私は自分の間違いをはっきりと悟ることになります。舌で歯の表面をなぞってみると、そこには、これまで感じたことのないレベルの、驚くほど滑らかな感触が広がっていたのです。歯の一本一本が独立して輝いているような、キュッキュッという音が聞こえてきそうなほどのツルツル感。これこそが、私が求めていたものでした。 電動歯ブラシは、スイッチを入れれば全てを自動でやってくれる魔法の杖ではありませんでした。それは、正しい使い方を学ぶことで、初めてその真価を発揮する精密なマシンだったのです。あの日以来、私はすっかり「当てるだけ」の磨き方の虜です。歯の着色も心なしか薄くなり、何より毎日の歯磨きが、面倒な義務から楽しみに変わりました。もし、あなたが電動歯ブラシの効果に疑問を感じているのなら、一度、その使い方を見直してみてください。ゴシゴシと動かす手を止め、ただ優しく歯に寄り添うだけで、きっと世界が変わって見えるはずです。