シャンプー後の排水溝や、朝起きた時の枕元に増えた髪の毛を見て、漠然とした不安を感じた経験は誰にでもあるでしょう。しかし、その抜け毛が正常なヘアサイクルの範囲内なのか、それとも何らかの対策が必要な危険信号なのかを自己判断するのは難しいものです。そこで重要になるのが、日々の抜け毛を客観的に把握するセルフチェックの習慣です。まず最も基本的なチェック方法は、抜け毛の本数を数えることです。健康な人でも一日に50本から100本程度の髪は自然に抜けています。これを把握するために、特に抜け毛が集中するシャンプー時に注目してみましょう。洗髪前に排水溝を綺麗にし、シャンプーからすすぎまでで抜けた髪の毛を全て集めて数えます。これを毎日行うのは大変なので、まずは3日間連続で記録し、その平均値を出してみてください。この平均値が常に100本を大幅に超えるようであれば、注意が必要なサインかもしれません。次に重要なのが、抜け毛の「質」のチェックです。抜けた髪の毛を数本手に取り、その状態をじっくりと観察します。注目すべきは、毛根の部分です。健康な状態で寿命を全うした髪の毛は、毛根がふっくらと丸みを帯びたマッチ棒のような形をしています。一方、毛根がなかったり、尖っていたり、細く弱々しかったりする場合は、髪が十分に成長する前に抜けてしまった可能性を示唆しており、頭皮環境の悪化やヘアサイクルの乱れが疑われます。また、抜けた髪全体の太さも見てみましょう。太くしっかりとした髪だけでなく、細く短い産毛のような髪の毛が多く混じっている場合も、AGA(男性型脱毛症)などの進行が考えられます。これらの「量」と「質」のチェックを定期的に行うことで、自分の髪の状態を客観的に把握し、変化の兆候を早期に捉えることができます。不安を煽るためではなく、自分の体が出しているサインを正しく理解し、適切なタイミングで専門医に相談したり、生活習慣を見直したりするための大切な指標となるのです。